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2026.09.23 / 声と話し方

声が老けてきたと感じたら。年齢とともに変わる声との付き合い方

昔より声が低くなった、かすれやすくなったと感じている方へ。年齢とともに声が変わるのは自然なことだとお伝えしたうえで、元アナウンサーの代表が、今の声を活かすための習慣と向き合い方をご紹介します。

声が老けてきたと感じたら。年齢とともに変わる声との付き合い方

「録音した自分の声を聞いて、こんなに低かったかな、と思って」

研修の休憩時間に、そう話してくださる方がいます。

年齢とともに声が変わるのは自然なことで、直さなければいけない不具合ではありません。困るのは、変わったこと自体ではなく、昔の出し方のまま話し続けてしまうことです。

私は放送の世界に20年以上おりました。その私にも、同じ変化は起きています。

今日の見方声が変わったこと自体は、元へ戻す対象ではないと見ています。研修でお伝えしているのも、若い声を作り直す方法ではなく、今の声のまま聞き取りやすく伝える工夫です。

声が変わったと感じるのは、気のせいではありません

留守番電話に残った自分の声。動画に入った自分の声。ふだん耳に届いている声とは、別のものに聞こえます。

録音された声が自分の耳で聞く声と違うのは、年齢に関わらず起きることです。ただ、しばらくぶりに聞いた方が「前はこうじゃなかった」とおっしゃるとき、その感覚を気のせいとして片づける必要はありません。

家族に「疲れてる?」と聞かれた。朝いちばんの挨拶が、思ったより出なかった。研修の場でも、そういう小さな心当たりからご相談が始まります。

声は毎日使うものですから、変わったことに気づかないまま昔と同じ出し方を続けると、そのぶん力が要ります。長く話した日の疲れ方が前と違う、という方もいらっしゃいます。

まず、何が変わっているのかを分けて見るところから始めます。

年齢とともに、声はこんなふうに変わります

ここでお話しするのは、喉の構造ではなく、話していて自分で気づく変化です。

高さ

出しやすい音の高さが少しずつ移ります。以前と同じつもりで話すと、無理のある音域で出し続けることになります。

息

文の終わりまで息が続かず、語尾が消えやすくなります。放送の現場でも、語尾が細くなって最後まで届かないことは起きていました。

かすれ

声の出はじめに息が混じります。長く話した日の後半に出やすく、一晩おくと戻っていることもあります。

立ち上がり

朝いちばんや、しばらく黙っていたあとの一声目が出にくくなります。

多くは少しずつ移っていくので、自分では気づきにくいところがあります。急に変わったと感じるときは、この先で触れるとおり、医療機関にご相談ください。

ただ、この4つがすべて年齢のせいとは限りません。とくに立ち上がりの出にくさは、しばらく声を使っていないだけのこともあります。

放送の現場でも、しばらく本番から離れていると、声が出るまでに時間のかかる日がありました。

年齢とともに移った音の高さを、無理に元へ戻そうとはしません。しばらく声を使っていなかったための出にくさは、話す機会が戻ると軽くなることがあります。

では、日常のなかで何をしておくといいのでしょうか。

今の声を活かすための、3つの習慣

研修やレッスンでお伝えしているのは、次の3つです。特別な時間を取らずに続けられるものを選びました。

習慣 01

声を出す機会を、一日のどこかに作る。まとまった練習の時間は要りません。

習慣 02

語尾を、最後まで言い切る。息が続かなくなると、真っ先に消えるのが語尾です。

習慣 03

話し始める前に、息を吐き切る。吸い込んだまま話し出すと、喉に力が入ります。

声を出す機会を、一日のどこかに作る

朝の挨拶、電話、短い音読。どれでも構いません。

まとまった練習の時間を作ろうとすると、忙しい日には後回しになります。後回しが続くと、そのままやめてしまいます。すでに毎日していることに重ねるほうが続きます。

新聞のコラムを一段落だけ声に出して読む。それくらいの分量で十分です。

語尾を、最後まで言い切る

「〜と思います」の「ます」が聞こえない。「よろしくお願いします」が「よろしくお願い」で終わっている。本人は言ったつもりでも、相手には届いていないことがあります。

声が届かないと感じると、まず声量を上げようとしがちです。研修では、声量より先に、語尾が最後まで出ているかを見ています。

話し始める前に、息を吐き切る

会議やプレゼンの直前は、息を吸い込んだ状態で話し出してしまいがちです。

一度ゆっくり吐いて、自然に入ってくる息で話し始める。本番前に私が意識していたのも、呼吸と姿勢の2つだけでした。

3つとも、若い声に近づけるための練習ではありません。今の声を、届く形で使うための習慣です。姿勢と呼吸については、「声が小さいと言われる人へ。無理に大声を出さずに届く声を作るコツ」という記事に書きました。

無理に若い声を出そうとしない

若い声に戻すことは、研修の目標にしていません。

声の変化に気づくと、昔の高さに戻したくなります。研修でも、そのお気持ちはよく伺います。私自身は、声を元に戻すのではなく、今の自分の声を整えるという感覚でやってきました。

けれど、出しやすい高さから外れた声を出し続けると、喉に力が入ります。力の入った声は、本人が思うほど若くは聞こえません。聞いている側に先に伝わるのは、力んでいることのほうです。

戻そうとするより、今の声を使う。高さを上げるより、間を置く。若く聞かせるより、聞き取りやすく。

昔の声に近づける話し方
高さを上げ、早口で、勢いで押し切る。喉に力が入り、語尾が消えやすくなります。
今の声を活かす話し方
出しやすい高さのまま、間を置き、語尾まで言い切る。喉に力が入りにくい話し方だと、研修ではお伝えしています。

声の印象は、高さだけで決まりません。どこで区切り、どこで一拍置くかによって、受け取られ方は変わります。

同じ低さの声でも、電話で使う声と、会議で使う声は違います。ご自分はどちらの場面が多いでしょうか。レッスンでも、型にはめず、その方の声質と場面に合わせて考えます。

低い声には、高い声では出せない落ち着きがあります。それを消してまで高さを上げる必要はない、と研修ではお伝えしています。

間の置き方については「一本調子から抜け出す。伝わる話し方の『間』の作り方」という記事にも書いています。

ここまでは、今の声をそのまま使うための工夫です。ただ、工夫で扱ってはいけない変化もあります。

痛みや違和感が続くときは

話すと喉が痛い、声がかすれたまま戻らない、飲み込みにくい。そうした状態が続いているときは、発声の工夫で乗り切ろうとせず、耳鼻咽喉科など専門の医療機関にご相談ください。

早めに相談することも、声を長く使い続けるための準備だと思っています。

長く話した日の喉の休ませ方については、「長く話すと喉が疲れる方へ。声を守る話し方と、休ませ方」という記事にまとめました。

よくある質問

声の変化は、何歳くらいから始まりますか
時期には個人差があり、一律には申し上げられません。研修では、年齢よりも、声を使う機会が減っていないかを先に伺っています。
低い声のままでも、印象は悪くなりませんか
低さそのものが印象を決めるわけではありません。研修では、低さよりも、語尾が最後まで届いているか、一拍おけているかを先に見ています。
毎日練習しないと戻ってしまいますか
練習をやめたから急に戻る、というものではありません。ただ、声を使う機会が減ると、また出しにくさを感じやすくなります。挨拶や電話など、もともと声を出す場面を減らさずにおくことです。

明日の朝の挨拶を、いつもより少しゆっくり、語尾まで言い切ってみてください😊

塚本くみ子

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