声が上ずるのは、決して特別なことではないんです
人前で話すとき、声が上ずったり、うわずって高くなってしまったりする。
これ、実はとても自然な体の反応なんですね。
緊張すると、体に力が入って呼吸が浅くなりやすいんです。
呼吸が浅くなると、声を支える力が弱くなって結果として、声が不安定になりやすい。
私も、放送の現場に出始めた新人の頃は本番前になると、喉のあたりがぎゅっと締まる感覚がよくありました。
「緊張しないようにしよう」と気合を入れるより「緊張しても声が整う状態」を作っておく方が現実的ではないでしょうか。
放送現場で意識していたのは「呼吸」と「姿勢」でした
本番前、私がいつも意識していたのは特別なテクニックではなく、呼吸と姿勢という、地味な2つのことだったんです。
ゆっくり長く息を吐く
緊張すると、呼吸はどうしても浅く、速くなりがちです。
本番前には、鼻から吸って口からゆっくり長く吐く、という呼吸を数回繰り返すようにしていました。
吐く時間を、吸う時間より長くする。
これだけで、体の力みが少し抜ける感覚があったんですね。
姿勢を整えてから声を出す
猫背気味だったり、肩に力が入っていたりすると声の通り道が、狭くなってしまいます。
背筋を軽く伸ばして、肩を回す。また、首周りを緩ませるストレッチをする。
たったこれだけの姿勢や体を緩めることの変化で声の出やすさが変わってくるのを、現場で何度も感じてきました。
本番直前に、鏡の前や控室で軽く姿勢を確認する習慣は、今でも続けています。
「上ずった声」を戻すのではなく「整える」という感覚
緊張して声が上ずったとき、無理に低い声を出そうとすると、かえって喉に力が入ってしまうことがあります。
私が意識していたのは、声を「元に戻す」のではなく「今の自分の声を整える」という感覚でした。
上ずっていることに気づいたら、一度、呼吸を整える。
それだけで、声のトーンが少し落ち着いてくることが多かったんですね。
完璧な声を目指すより、「今日の自分の声」と、うまく付き合っていく。
そんなイメージの方が、本番でも力みすぎずに済む気がしています。
声の変化は、日々の積み重ねの中にあるものだと思っています
声というのは、その日の体調や気持ちの状態がそのまま出やすいものだと、長年感じてきました。
緊張して声が上ずるのも、声が以前より低くなった、出しづらくなったと感じるのも、
特別なことではなく、年齢の変化、日々の体との対話との延長にあるのではないでしょうか。
すぐに変わるものではないかもしれませんが、呼吸や姿勢といった、日常の小さな習慣を少しずつ整えていくことが、
声との付き合い方を、穏やかにしてくれるように思います。
おわりに
緊張すると声が上ずってしまう。
それは、あなたが真剣にその場所と向き合っている証拠でもあると、私は思っています。
放送現場で大切にしていた呼吸と姿勢というシンプルな習慣が、
これを読んでくださっているあなたにとっても何かのヒントになれば嬉しいです。