会議で発言はした。うなずいてもらえた。
なのに、決まったことを見返すと、自分の話がどこにも残っていない。
そんな経験、ありませんか。
私も、アナウンサーの現場を離れて会議の席に座るようになった頃、これがずいぶん悔しかったんです。
でも今は、埋もれる理由は声の大きさではなく、話の組み立てにあると思っています。
今日は、会議で短く伝えるための順番の作り方と、声を張らずに印象を残す間(ま)の使い方をお話ししますね。
「言ったはずなのに」が残る会議
議題が進んでいくなかで、タイミングを見つけて発言する。
場の空気は悪くない。
それでも議事録に残るのは、別の誰かの一言だったりします。
原稿のある仕事なら、伝える順番はあらかじめ決まっています。
けれど会議は、聞きながら考えて、その場で組み立てて話さなければいけません。
当時の私は、そこでつい説明を足していました。
分かってもらおうとして、背景から丁寧に話す。
気がつくと長くなっていて、いちばん言いたかったことは、話の途中で溶けているんですね。
埋もれていたのは声の小ささではなく、順番でした。
背景から丁寧に話しているうちに、結論が後ろへ流れてしまう。
理由をいくつも並べて、いちばん伝えたいことがぼやけてしまう。
最後が「そんな感じです」で終わり、相手の次の行動が決まらない。
長く話すほど、主張は薄くなる
研修で管理職の方の発言を伺っていると、伝わりにくい話には共通点があるように感じます。
- 背景説明が長く、結論が最後まで出てこない
- 理由を3つも4つも並べて、どれが本命か分からない
- 「まあ、そんな感じです」と、語尾がぼやけて終わる
どれも、雑に話しているから起きることではありません。
むしろ、正確に伝えようとする真面目さから来ているんです。
ただ、会議で人が集中して聞いてくれる時間は、思っているより短いんですね。
最初の一文で「これは自分に関係のある話だ」と感じてもらえないと、そのあとの丁寧な説明は届きにくくなってしまいます。
発言は「結論・理由・お願い」の3つでできています
難しい話術ではありません。
発言する前に、頭のなかで3つだけ決めておく。それだけです。
1つめ|結論を、最初の一文に置く
「A案でいきたいと思います」
「この件は、来週まで判断を待ちたいです」
まず、これを言い切ってしまいます。
途中に置くと、聞き手はどこが山場なのか分からないまま聞くことになります。
先に結論があると、そのあとの説明は「なるほど、だからか」と受け取ってもらえるんですね。
順番を入れ替えるだけなので、明日の会議からでも試せます。
2つめ|理由は、ひとつに絞る
理由をたくさん挙げれば説得力が増す気がしますが、実際は逆のことが多いように感じます。
3つ並べると、聞き手はいちばん弱い理由から反論を考え始めてしまう。
ですから、いちばん強い理由をひとつだけ選んで話します。
残りは、聞かれたときに出せばいい。
手札を全部見せないほうが、話は短く、強くなるんです。
3つめ|相手にしてほしいことまで言い切る
ここが、いちばん抜けやすいところだと思います。
意見を述べて終わってしまうと、聞いた側は「で、私は何をすれば?」となります。
判断してほしいのか、期限を決めてほしいのか、担当を割り振ってほしいのか。
「今日この場で、方向だけ決めさせてください」
そこまで言葉にして、発言はやっと着地します。
結論を先に言う。「私はA案で進めたいです」と最初に置きます。
理由はひとつに絞る。いちばん強い根拠だけを短く添えます。
お願いまで言う。判断してほしいのか、確認してほしいのかを明確にします。
声を張らなくても、印象は残せます
発言が弱く感じられると、つい声を大きくしようとしてしまいます。
でも会議室で急に声量を上げると、内容より勢いのほうが記憶に残ってしまうんですね。
私が現場でお伝えしているのは、声ではなく間(ま)を使う方法です。
- 話し出す前に、ひと呼吸置く。手を挙げてすぐ話し始めない
- 結論の直前で、半拍だけ止める。そこに耳が集まります
- 語尾を伸ばさず、短く止める。「〜なんですけど」で終えない
- 大事な一文だけ、少しゆっくり低めに話す
沈黙が怖くて間を埋めてしまう方は多いのですが、間は空白ではありません。
聞き手が受け取るための時間なんです。
一拍置いてから話し出した人の言葉は、それだけで少し重く届くように思います😊
発言前の30秒で、私がしていること
会議中、話す順番が回ってきそうだと感じたら、こんな流れで頭を整理しています。
言いたいことを一文にする。
理由をひとつ選ぶ。
してほしいことを決める。
息を吐いてから話し出す。
メモに書けるときは、この3行だけ書きます。
書ききれないほど長いなら、それはまだ自分のなかで整理できていない合図なんですね。
その日は無理に発言せず、会議後に一言添えるほうが伝わることもあります。
全部言い切らなくて、いいんです
ひとつだけ、お伝えしておきたいことがあります。
短く話すというのは、言いたいことを我慢することではありません。
その場で全部渡そうとするのをやめて、いちばん動いてほしい一点に絞る、ということです。
削った部分は、質問されたときに話せばいい。
むしろ、聞き返してもらえたほうが、対話は深くなりますよね。
会議は、うまく話す場ではなく、決めるための場ですから。
まとめ|順番を変えるだけで、発言は残ります
発言が埋もれるのは、声が弱いからでも、立場が下だからでもないと思っています。
結論を先に置く。理由はひとつに絞る。してほしいことまで言い切る。
そして、話し出す前にひと呼吸。
この4つだけで、同じ内容でも受け取られ方は変わってくるのではないでしょうか。
次の会議で、まずは「結論を最初の一文に置く」だけでも試してみていただけたらうれしいです。
