会議やセミナー、名刺交換の場面で、最初のひとことが妙に緊張してしまう。そんなご相談を、研修の場でよくいただきます。
実は第一声の印象は、声量や度胸ではなく、ちょっとした準備で整えられるんです。
今日は、挨拶と自己紹介を「短く伝える」ための小さなコツをお話ししますね。
最初の数秒で、場の空気は決まります
人と初めて言葉を交わす瞬間って、緊張しますよね。
私自身、アナウンサーとして数えきれないほどの第一声を経験してきましたが、正直に言うと、今でも大事な場面では緊張します。
でも、経験の中で気づいたことがあるんです。第一声の印象は、声の大きさや度胸ではなく、事前にどれだけ短く準備できているかで、ずいぶん変わるんですね。
会議の冒頭で「では、始めさせていただきます」と切り出す瞬間。
名刺交換のあと「〇〇会社の△△です」と名乗る瞬間。
登壇して「本日はお集まりいただき」と話し出す瞬間。
どの場面にも共通しているのは、最初の数秒で相手が無意識に印象を作ってしまうということではないでしょうか。
私も局アナ時代、生放送の冒頭で嚙んでしまったことがあります。その日は最初の一文が頭の中で曖昧なまま、なんとなくのイメージだけでマイクの前に立ってしまったんですね。
以来、最初の一文だけは必ず言葉として決めておく。これを自分の中のルールにしています。
今日から試せる、3つの準備
声量を鍛えるとか、緊張をなくすといった大きな話ではありません。もっと小さな、今日から試せる準備です。
最初の一文を、一字一句そのまま決めておく。
名前を、社名と同じテンポで置く。急がない。
語尾の一音まで、最後まで声を届ける。
最初の一文さえ口から出てしまえば、そのあとは意外と自然に言葉が続きます。逆に曖昧なままだと、話し始めた瞬間に焦ってしまって、それが表情や声にも出てしまうんですね。
名前だけ、速くなっていませんか
自己紹介のとき、名前だけ早口になってしまう方、意外と多いんです。
社名まではゆっくり話せているのに、名前のところだけスピードが上がってしまう。緊張が一番出やすい部分だからなんですね。
名前は、自分自身を表す一番大切な情報です。一拍おいて名乗るだけで、落ち着いた印象がぐっと増しますよ。
語尾も同じです。「よろしくお願いします」の「す」が消えてしまっていませんか。緊張していると、その大事な語尾ほど息が続かず、小さくなってしまいがちです。
文の最後の一音を、次の言葉に渡すバトンのように扱う。そんなイメージで声を置いてみてください。
準備しすぎない、というコツ
ひとつだけ、気をつけておきたいことがあります。準備をしすぎて、台本を読むような話し方になってしまうケースです。
決めておくのは最初の一文だけ。そのあとまで全部を暗記しようとすると、かえって不自然になってしまうことがあります。
それに、ここでご紹介した方法は印象を整えるための準備であって、緊張そのものをなくすものではありません。
緊張は誰にでもあるものです。なくそうとするより、緊張していても最初の一言だけは整えられる、というくらいの気持ちで臨むほうが、結果的にうまくいくことが多いように思います。
よくある質問
最初の一文は、どのくらいの長さがいいですか?
覚えられるか不安です。
オンラインでも同じですか?
声量を大きくしたり、緊張と戦ったりするのではなく、最初の一文を決める、名前を急がない、語尾を消さない。
次に人前で話す機会があれば、まずは最初の一文だけを声に出して練習してみてください。話し始めの一歩が、少し軽くなるのではないでしょうか。
